相続放棄の事例

【Bさんの場合】

〜私は他家に嫁いだ身、もう実家の相続とは関係ないはずなのに・・・〜

Bさんのお父さんが2年前に死亡しました。お父さんの相続人にはBさんの他に2人のお兄さんがいます。Bさんは、お父さんの相続について気にはなっていましたが、自分は他家に嫁いで姓も変わっているし、お兄さん達も何も言って来ないので、お父さんの相続とは無関係なのだろうと思いました。そのうちすっかりお父さんの相続のことを忘れていってしまいました。

お父さんの死亡から半年以上経ったある日、Bさんがお兄さん達と雑談をしている時、偶然にお父さんの預貯金について初めて聞かされました。お父さんの預貯金の相続手続はしておらず、カードで引き出して交互に使っているとのことでした。Bさんはそれを聞いても特に何も思いませんでした。その時もBさんは、お父さんの相続財産はお兄さん達2人が相続するもので、他家に嫁いだ自分とは全く無関係であると信じていたのです。

ある日突然父の借金の催促状が・・・

それから1年ほど経ったある日今度はBさんの下に、カード会社からの督促状が届きました。Bさんはクレジットカードを持っていないのに、何でこんなものが自分宛に届いたのか疑問に思い、督促状の封を開けて内容を確認しました。内容は次のとおりでした。

  1. お父さんに112万円6000円(利息及び遅延損害金を含む)の負債がある。
  2. Bさんには、上記の3分の1の額を支払う義務がある。
  3. 督促状を見た日から一週間以内にカード会社に連絡をしてほしい。
  4. 相続放棄をしている場合は、その証明書のコピーを送付してほしい。

Bさんは慌ててカード会社に電話で連絡をしました。担当者に「自分はお父さんの財産を相続していない。自分は他家に嫁いだ身なので、お父さんの相続とは無関係である」と説明しました。しかし、カード会社の担当から次のとおり伝えられました。

姓が変わっても相続権があったの!?

「Bさん、あなたは大変な勘違いをしています。女性が結婚して姓が変わっても、お父さんの子供である以上、相続においては他の子供と等しく相続権を持っています。そして財産を承継する権利を得るだけでなく、負債を支払う義務も負うのです。」

それを聞いたBさんは目の前が真っ暗になるような思いでした。

3ヶ月以上たっているけど相続放棄はできる場合もある

Bさんは救いを求めるような気持ちで「相続放棄」についてインターネットで検索し、司法書士事務所に電話相談をしました。司法書士から民法の原則では被相続人(ここではお父さんのこと)の死亡を知ってから3ヶ月以内に相続放棄の申し立てをする必要があるが、Bさんのケースなら家庭裁判所の裁判官が十分認めてくれる余地があるとのことでした。その後、Bさんは電話相談に乗ってくれた司法書士事務所に依頼をし、無事に相続放棄手続を完了させました。

本事例は、戦前の「家制度」の下での相続に関する考え方が起こす勘違いの一例です。女性は結婚して姓が変わっても相続権が無くなるわけではありません。又、長兄が財産を全て相続する等という制度も過去のものです。子供は身分関係の移動(結婚や養子縁組)があっても、親の相続に関しては常に第一順位の相続人となります。

 

 

※上記の事例はフィクションであり、当事務所にご依頼頂いたお客様から聴取した実際の事例ではありません。

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